制作担当者が語る!
第144回定期演奏会のズバリ『聴きどころ』!!
指揮者 フランコ・チェザリーニ 初見参!
大変お待たせいたしました。第144回定期演奏会は、スイスよりフランコ・チェザリーニの登壇です。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、2年前には想像もしなかった世の中となってしまい、この演奏会を待ちわびていた方も多いと思われます。
私たちも心待ちにしていた共演が、叶う喜びと期待でいっぱいです。
作曲家としてのチェザリーニは、みなさんもすっかりお馴染みかと思いますが、スイスをはじめとしたヨーロッパの吹奏楽界では、指揮者としても高い評価を得ています。
今回の定期演奏会では、代表作と日本初演の曲を自作自演で聴いていただきます。
シンフォニエッタ第3番「ツヴェルフマルグライエンのスケッチ」作品56(日本初演)まず1曲目は、昨年作曲されたシンフォニエッタ第3番「ツヴェルフマルグライエンのスケッチ」で幕を開けます。イタリア北部、南チロルの山あいにある街、ツヴェルフマルグライエンの景観を描いた作品です。 山に囲まれたツヴェルフマルグライエンは、山と共存する生活を送っています。 爽やかなイタリアの山間部の風景が目に浮かぶ、素敵な情景音楽をお届けします。 |
▲スコア:Franco Cesarini: Sinfonietta No.3《Zwölfmalgreien Sketches》(Edition Franco Cesarini、2021年) |
ビザンティンのモザイク画 作品142曲目は、作曲家チェザリーニの名を世界に知らしめた曲である「ビザンティンのモザイク画」です。コンサートの前半は、イタリア系スイス人であるチェザリーニが、イタリアをテーマにした曲が続いていることになります。 「ビザンティンのモザイク画」は、チェザリーニがイタリアで見た、カトリック教会のモザイク画に触発され作曲しましたが、同様のテーマで作曲をしたレスピーギを彷彿とさせる、激しく情熱的な音楽が特徴です。この曲は1993年に出版されたロングセラー作品ですが、意外なことにShionでは初めて取り上げます。 ザ・シンフォニーホール全体に響き渡る、押し寄せる音のうねりに、きっと心を奪われることでしょう。 |
▲スコア:Franco Cesarini: Mosaici Bizantini (Mitropa Music、1993年) |
交響詩「アルプスの詩」作品21a後半は「アルプスの詩」で始まります。この曲は2002年に開催した第85回定期演奏会(指揮:秋山和慶)で取り上げて以来の演奏となります。 この曲は1999年に、リヒャルト・シュトラウスの没後50年のオマージュとして作曲された作品で、リヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」に大きく影響を受けています。しかし、影響を受けつつもチェザリーニ独自のアイデアを多彩に発揮し、吹奏楽器の特性を生かした作曲法は素晴らしいものがあります。 そして、この曲で目に入ってくるのは豊富な打楽器です。アルプスを音楽で表現するために、風の音を再現するウインドマシーンや鳥の鳴き声を模したバードホイッスルなど、さまざまな打楽器を駆使してアルプスの風景を表現しています。 同じ山をテーマにした曲でも、最初のツヴェルフマルグラエンの景色とは異なる山の姿を表現しています。 | ▲スコア:Franco Cesarini: Poema Alpestre (Mitropa Music、1999年) |
交響曲 第3番「アーバン・ランドスケイプス」作品55(日本初演)最後は2021年に作曲された新曲、交響曲第3番「アーバン・ランドスケイプス」をお届けします。この交響曲第3番は、アメリカ・シカゴの都市の景観をテーマとした3楽章からなる交響曲であり、昨年2021年の第136回定期演奏会で演奏された「交響曲第2番」のテーマは江戸(東京)と、チェザリーニは連作で大都市をテーマとした交響曲を書いています。 夜明けのシカゴの近代的な街並みが1日の始まりを見せていく第1楽章、その朝の対として、第2楽章はシカゴの夜景を、ジャズ風な音楽で夜の雰囲気を醸し出します。第3楽章はまたしても近代的な街並みに戻り、シカゴの中心部、ミレニアムパークにある印象的な建造物「クラウド・ゲート」をタイトルに名付けました。 クラウド・ゲートは1面が鏡像の建築物で、シカゴの代表的なスポットとして有名です。鏡像というイメージで作曲されているのは、例えば第1楽章の主題の役割を、第3楽章ではその主題を反転させ曲が進みます。第1楽章に現れる主題を覚えておいていただくと、第3楽章を面白く聞くことができます。 シカゴの3つの景観を描いた今回の新作は、チェザリーニの新境地とも言える作風となっています。 | ▲スコア:Franco Cesarini: Symphony No.3 “Urban Landscapes” (Edition Franco Cesarini、2021年) |
チェザリーニの楽曲は色彩感にあふれ、聴く者にその景色を容易に想像できる曲ばかりです。
これらの作品をまとまって自作自演で聴ける機会は貴重です。
Shionだからこそできる、この歴史的初共演をぜひお楽しみください!!
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